「帰った後に電話してくるのやめて頂けますか?」
「・・・。どういう意味だ?」
突然話しかけられ目を丸くする。話しかけてきたのは、最近入社した鈴木だ。突然の事に聞き返してしまったが、心当たりがある。
鈴木に一任していた資料の進捗を確認しようと昨日電話をした。その日、鈴木は客先の打ち合わせが終わり、客先からそのまま帰宅していた。
「私は昨日仕事が終わったので家に着いていました。ですが、田中課長は電話してきましたよね?」
静かなフロアに異様な雰囲気が流れる。
「確かに電話はしたが、お前に任せてる資料はどうなった?期日が迫ってきているぞ。」
部長の心配を横目に、私は冷静に返した。進捗の確認は、報告のない部下に対して、当然の行動だ。
「資料なら本日完了します。それより、昨日電話頂いた時間、私の業務は終了しています。それは、急いで確認するような内容でしょうか。」
咳払いをしながら席を外す部長。それを横目に私は言葉を返す。
「お前の報告がないから心配して・・・。」
言い終わる前に私の言葉を遮る鈴木。
「弊社の仕事の進め方は理解しました。申し訳ありません。以後、気をつけます。」
高圧的な態度に内心怒りを覚えつつ、冷静に鈴木を席に返す。異様な雰囲気だったフロアがいつも通りの装いに戻る。
私の今までのやり方は間違っているのだろうか。席を立ち喫煙所に移動する。
頑張れ!田中課長!!
つづく・・・かも。
この物語はフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。
それでは。